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封邪のお守り
封邪の印が施されたお守り。両親に持たされた物。
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―――
●幼き子が見る夢は
其は、狐……?
村人どもが、火を、点かれて。
「などか、さること、する」
誰も答えてはくれない。
助けに行こうにも、体が動かなかった。
「やめよ。いとほし」
そのうち、男が現れて、狐を封じてしまった。
が、長きにわたる戦闘により、男の命も尽きかけていた。
男は、死後も自らの力で狐を封じるため、狐もろとも焼かれて逝った。
その炎は狐の形になり、やがて消えた。
残されたのは、真っ暗な空間。
動けるようにはなったが、歩けど歩けど変わらぬ景色。
本当に歩いているのかさえわからない。
ふと、振り向けば、赤い月が浮かんでいた。
否。赤い月のような眼が、こちらを見ていた。
それは夢。
されど、夢に狐が出たと聞いた両親はひどく心配し、お守りを持たせた。
魔力の籠った、封邪の印が刻まれたお守りを。